総合病院の聖路加国際病院は、がん治療に関して2014年から免疫・細胞治療科を開設しており、免疫療法も行っています。今回は免疫療法の内容や治療方法、アクセス、基本情報などをご紹介します。
聖路加国際病院では、さまざまながん治療に対応していますが2014年11月に免疫療法に特化した「免疫・細胞治療科」を開設しました。
「抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)によるがん免疫治療」と呼ばれる治療を実施しているのが特徴で、点滴による投与で治療を進めていきます。
免疫療法ニボルマブによる投薬治療とは、T細胞ががん細胞を集中して攻撃できるように、がん細胞への攻撃を妨げる特定の成分に関する結合を阻止することで、免疫力を高める治療方法です。
T細胞は本来がん細胞を攻撃できる能力があります。T細胞はPD-1と呼ばれるたんぱく質をもっていますが、がん細胞から現れるPD-L1とよばれるタンパク質と結合してしまうと、がん細胞への攻撃能力が無くなってしまうという問題がありました。
そこで抗PD-1抗体ニボルマブを投与すると、T細胞のPD-1が抗PD-1と結合しがん細胞のPD-L1と結合できないようになります。ですので、T細胞はがん細胞を攻撃する能力を保つことができ、結果的に自己免疫力を高める治療に繋がるという仕組みです。
抗PD-1抗体ニボルマブによる免疫療法の効果ですが、治験によって頭頸部がんや肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんなどの治療効果が認められました。(第3相試験、既存の薬剤と比較して効果が認められたもの)
また、薬の安全性が認められる第1・2相試験と呼ばれる治験では、食道がんや胃がん、肝臓がんなどに関する論文が作成・発表されています。
免疫療法で使用されている治療薬は、ニボルマブやペンブロリズマブなどいくつかあります。その中でもニボルマブのみ保険適用されています。
2019年現在でも免疫療法や関連する治療薬については、日々開発・研究が繰り返されているため、保険適用や治療方法の最新情報は問い合わせてみる必要が
抗PD-1抗体ニボルマブを活用した免疫療法は、副作用も確認されています。聖路加国際病院の公式サイトでは、以下のような副作用について記載。
(%は発生する頻度)
自己免疫力を高める治療法のため、人によっては過剰反応を引き起こし、このような副作用の発生に繋がることがあります。
聖路加国際病院では、免疫療法が各がん患者にとって適切か判断するために、相談外来と呼ばれるセカンドオピニオンでがんの状況について詳細に相談を受けています。
また、セカンドオピニオンによって、聖路加国際病院へ診療先を移動する場合は移動前の主治医からの紹介状が必要です。更にセカンドオピニオンを受けた後でも、転院後は初診外来で診療を受けます。
最新の免疫療法抗PD-1抗体には、副作用のリスクがあるため万が一の状況にも対応できるよう、がんの免疫療法の専門家で迅速に対処します。また、聖路加国際病院は総合病院でもあるので、各専門医が常駐しているのも大きな魅力です。
聖路加国際病院では、がんに対して免疫療法だけでなく、放射線治療や化学治療など、さまざまな治療方法を用意しています。
また、がんの発生箇所に応じて診療科を細かく分けているのも、総合病院ならではの強みといえるでしょう。
掲載している治療法は保険適用外の自由診療が含まれており、自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なるため、不安な点は、各クリニックの医師に直接確認・相談したうえで治療を検討することをおすすめします。