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リスクマネジメント1.症状別に見る抗がん剤の副作用と有害事象のグレード

抗がん剤の副作用には脱毛や吐き気、倦怠感などさまざまな症状が出ますが、抗がん剤の種類や有害事象のグレードによってもレベルが異なります。

ここでは、副作用の症状が出やすい抗がん剤の種類や、有害事象のグレード、薬物有害反応(薬害)について解説しています。

症状別に見る抗がん剤の副作用

脱毛

抗がん剤の副作用としてよく見られるのが頭髪や全身の体毛が抜け落ちる脱毛の症状です。細胞分裂の盛んな毛根細胞はダメージを受けやすく、毛の生えるサイクルが乱れてしまうのが原因となります。

抗がん剤の副作用
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吐き気・嘔吐

抗がん剤投与後24時間以内に起こる吐き気や嘔吐は「急性」、数日間で起こる吐き気や嘔吐は「遅発性」と呼ばれます。においなどの刺激や精神的な影響が考えられます。

抗がん剤の副作用
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貧血

抗がん剤によって赤血球やヘモグロビンの減少が起こると、体中の組織が酸欠となって貧血が起こりやすくなります。

抗がん剤の副作用
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むくみ

抗がん剤の治療を開始した7割の方が、抗がん剤の投与後に体のむくみや重さ、だるさを感じるといわれています。体の倦怠感は長く続くのが特徴です。

抗がん剤の副作用
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口内炎

口の中の粘膜にできるぷちっとした白っぽい潰瘍が口内炎です。口腔粘膜の細胞分裂に抗がん剤がダメージを与え、その過程で発生する活性酸素も粘膜を傷つけるのが原因です。

抗がん剤の副作用
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しびれ

体の一部がしびれる症状があると、肌への刺激を的確に感じることができなくなります。手足の指先から始まることが多く、投与中止後も症状が継続することが多いです。

抗がん剤の副作用
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下痢・便秘

抗がん剤投与で起こる下痢や便秘は、抗がん剤により腸のぜんどう運動が活発になったり腸管感染により起こったりすると言われています。

抗がん剤の副作用
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アレルギー(過敏症)

抗がん剤によるアレルギー症状は点滴直後から始まることがあります。免疫細胞による過剰な免疫反応が原因です。予防するにはアレルギーの有無を医師に伝えておきましょう。

抗がん剤の副作用
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白血球減少

白血球の減少は抗がん剤が増殖活性の高い細胞をターゲットにするため、分裂が盛んな白血球が狙われます。投与開始後2~3日で減少が始まります。感染症にかかると重症化する危険性があります。

抗がん剤の副作用
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血小板減少

抗がん剤の影響で血小板が減少すると、出血した場合血が止まりにくくなります。血が止まらないため慌ててしまいますが、速やかに止血して医師に相談しましょう。

抗がん剤の副作用
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抗がん剤の副作用と薬物有害反応、有害事象の関係とは

抗がん剤による化学療法は人体にさまざまな影響を与えます。私たちが通常副作用といっているものの定義は本来、「薬剤の作用のうち、主要な作用(主作用)以外の作用。有益な作用も有害な作用も含む」とされています。

副作用と聞くと有害な反応しかないと思いがちですが、がん細胞によって体内の免疫系システムが破綻している状態を改善するための反応も副作用には含まれているのです。

薬剤の影響下で出る副作用のうち「薬剤が原因で生じたあらゆる好ましくない症状、徴候」のことを薬物有害反応と呼ぶのですが、実際にはこの薬物有害反応のことを指して副作用と称していることがほとんど。

薬剤による有益な作用に関して問題視することや対策を講じる必要はありませんので、「抗がん剤の副作用」はすなわち、この薬物有害反応(薬害)と考えてよいと思います。

薬害は副作用と有害事象の交わりである共通項目であり、この薬害を予防して副作用の症状を軽減する治療法のことを「支持療法」といいます。

吐き気を抑える制吐剤や感染症防止の抗生剤などがそれにあたります。ただこの吐き気止めにも副作用が報告されていますので、体との相性を見ながら処方することになります。

米国立がん研究所が策定した「有害事象のグレード」とは

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、投薬などの治療で生じたあらゆる好ましくない症状や徴候のことを「有害事象(Adverse Event = AE)」といいます。

この有害事象は必ずしも治療が原因と特定できるものだけを指すのではないというのが薬害と異なる部分。有害事象と副作用の交わったところが薬物有害反応という定義です。

有害事象は1から5までの5段階で評価されていて、その尺度が「Grade(グレード)」です。グレードの数字は有害事象の重症度を表しており、数字が大きくなるほど重篤な症状であるといえます。各グレードの定義は下記の通りです。

Grade 1 軽症 症状がない、または軽度の症状がある 臨床所見または検査所見のみ、治療を要さない
Grade 2 中等症 最小限/局所的/非侵襲的治療を要する 年齢相応の身の回り以外の日常生活動作の制限
Grade 3 重症または医学的に重大であるが、ただちに生命を脅かすものではない 入院または入院期間の延長 を要する 活動不能/動作不能 身の回りの日常生活動作の制限
Grade 4 生命を脅かす 緊急処置を要する
Grade 5 有害事象(AE)による死亡 -

なお、このグレードは白血球減少や血小板減少、しびれ、嘔吐、口内炎、下痢などあらゆる症状ごとに定められています。グレード5は、有害事象による死亡を意味しますが、一部の有害事象には死亡が該当しないため、グレードが4までしか存在しないものもあります。

有害事象を評価して基準を決めているのは、米国立がん研究所。現在は2010年改定の『CTCAE v4.0』が適用されていますが、日本臨床腫瘍研究グループが日本語訳を行なっているので、下記サイトよりダウンロードすることも可能です。

有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版:http://www.jcog.jp/doctor/tool/ctcaev4.html

抗がん剤治療の副作用と有害事象の違い
有害事象のグレードについて見る

抗がん剤の副作用と関連する有害事象とグレード

以下、有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版:http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv4J_20170912_v20_1.pdf(pdf)より抜粋

貧血 血液およびリンパ系障害 Grade1:ヘモグロビン<LLN10.0 g/dL; <LLN6.2 mmol/L; <LLN100 g/L Grade2:ヘモグロビン<10.0-8.0 g/dL; <6.2-4.9 mmol/L; <100-80 g/L Grade3:ヘモグロビン<8.0 g/dL; <4.9 mmol/L; <80 g/L; 輸血を要する Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
便秘 胃腸障害 Grade1:不定期または間欠的な症状; 便軟化薬/緩下薬/食事の工夫/浣腸を不定期に使用 Grade2:緩下薬または浣腸の定期的使用を要する持続的症状; 身の回り以外の日常生活動作の制限 Grade3:摘便を要する頑固な便秘; 身の回りの日常生活動作の制限 Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
下痢 胃腸障害 Grade1:ベースラインと比べて<4回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が軽度に増加 Grade2:ベースラインと比べて4-6回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が中等度増加 Grade3:ベースラインと比べて7回以上/日の排便回数増加; 便失禁; 入院を要する; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が高度に増加; 身の回りの日常生活動作の制限 Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
悪心 胃腸障害 Grade1:摂食習慣に影響のない食欲低下 Grade2:顕著な体重減少, 脱水または栄養失調を伴わない経口摂取量の減少 Grade3:カロリーや水分の経口摂取が不十分; 経管栄養/TPN/入院を要する Grade4:- Grade5:-
嘔吐 胃腸障害 Grade1:24時間に1-2エピソードの嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする) Grade2:24時間に3-5エピソードの嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする) Grade3:24時間に6エピソード以上の嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする); PNまたは入院を要する Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
口腔粘膜炎 胃腸障害 Grade1:症状がない, または軽度の症状がある; 治療を要さない Grade2:中等度の疼痛; 経口摂取に支障がない; 食事の変更を要する Grade3:高度の疼痛; 経口摂取に支障がある Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
脱毛症 皮膚および皮下組織障害 Grade1:遠くからではわからないが近くで見ると正常よりも明らかな50%未満の脱毛; 脱毛を隠すために, かつらやヘアピースは必要ないが, 通常と異なる髪形が必要となる Grade2:他人にも容易に明らかな50%以上の脱毛; 患者が脱毛を完全に隠したいと望めば, かつらやヘアピースが必要; 社会心理学的な影響を伴う Grade3:- Grade4:- Grade5:-
顔面浮腫 一般・全身障害および投与部位の状態 Grade1:顔面に限局する浮腫 Grade2:中等度の顔面に限局する浮腫; 身の回り以外の日常生活動作の制限 Grade3:高度の腫脹; 身の回りの日常生活動作の制限 Grade4:- Grade5:-
四肢浮腫 一般・全身障害および投与部位の状態 Grade1:四肢間の差が最も大きく見える部分で, 体積または周長の差が5-10%; 腫脹または四肢の解剖学的構造が不明瞭になっていることが注意深い診察でわかる Grade2:四肢間の差が最も大きく見える部分で, 体積または周長の差が>10-30%; 腫脹または四肢の解剖学的構造が不明瞭になっていることが診察で容易にわかる; 皮膚の皺の消失; 解剖学的な輪郭の異常が容易にわかる; 身の回り以外の日常生活動作の制限 Grade3:体積の差が>30%; リンパ漏; 解剖学的な輪郭の異常が著明である; 身の回りの日常生活動作の制限 Grade4:- Grade5:-
体幹浮腫 一般・全身障害および投与部位の状態 Grade1:腫脹または解剖学的構造が不明瞭になっていることが注意深い診察でわかる Grade2:解剖学的構造が不明瞭になっていることが診察で容易にわかる; 皮膚の皺の消失; 解剖学的な輪郭の異常が容易にわかる; 身の回り以外の日常生活動作の制限 Grade3:解剖学的な輪郭の異常が著明である; 身の回りの日常生活動作の制限 Grade4:- Grade5:-
アレルギー反応 免疫系障害 Grade1:一過性の潮紅または皮疹; <38℃(100.4°F)の薬剤熱; 治療を要さない Grade2:治療または点滴の中断が必要. ただし症状に対する治療(例: 抗ヒスタミン薬, NSAIDs, 麻薬性薬剤)には速やかに反応する; ≦24時間の予防的投薬を要する Grade3:遷延(例: 症状に対する治療および/または短時間の点滴中止に対して速やかに反応しない); 一度改善しても再発する ; 続発症(例: 腎障害, 肺浸潤)により入院を要する. Grade4:生命を脅かす; 緊急処置を要する Grade5:死亡
白血球減少 臨床検査 Grade1:<LLN-3,000 /mm3; <LLN-3.0×10e9 /L Grade2:<3,000-2,000 /mm3; <3.0-2.0×10e9 /L Grade3:<2,000-1,000 /mm3; <2.0-1.0×10e9 /L Grade4:<1,000 /mm3; <1.0×10e9 /L Grade5:-
血小板数減少 臨床検査 Grade1:<LLN-75,000 /mm3; <LLN-75.0×10e9 /L Grade2:<75,000-50,000 /mm3; <75.0-50.0×10e9 /L Grade3:<50,000-25,000 /mm3; <50.0-25.0×10e9 /L Grade4:<25,000 /mm3; <25.0×10e9 /L Grade5:-

抗がん剤の副作用の現れ方には個人差がある

抗がん剤投与によって現れる副作用は、人それぞれです。使う抗がん剤の種類によっても副作用の症状は変わりますし、症状の現れ方も個人差があります。

副作用が現れたときに「薬剤が効いている証拠だ」と考えて症状を我慢してしまう人も多いようですが、副作用が強いからといって治療効果が高いということではありません

。むしろ副作用があるのにがまんしすぎて体力を奪われ、想定していたような治療効果が得られないケースも。

現在は副作用における症状や苦痛を軽減する療法、対策が以前よりも進んでいるため、医師に相談をすれば副作用が軽減されることもあります。

あまりにひどい場合は薬の種類を変更したり投与量を減らしたりして、まずは体力の回復を待つこともあります。

抗がん剤の副作用を和らげるための意識改革

抗がん剤というワードを聞くと、絶対に副作用からは逃れられないというイメージが強いと思います。実際に抗がん剤による治療で副作用が出ない患者はほとんどいません。

がんの治療そのものへの不安はもちろんのこと、副作用が心配でしかたがないという人も少なくないと思います。

ですが、抗がん剤の副作用に関する正しい知識を身に着けることで、その不安を和らげることができます。

担当医や看護師とのコミュニケーションがカギを握る

外来通院による抗がん剤治療は、自宅へ帰宅できるため通常通りの生活を送りたいという人には良いでしょう。

しかし、抗がん剤治療を受ける時にしか医師や看護師などと接する機会がありません。

医療スタッフ達と接することができる時間は少ないため、十分なコミュニケーションを取ることができないのです。

結果、抗がん剤治療やがんに関して一人で悩むことや不安に思うことが増え、精神的にも辛い状態に陥るのです。

常に医師や看護師とコミュニケーションを取ることは、精神を安定させるのに打ってつけなので、入院も視野に入れておきましょう。

もし、外来通院を続けたいという場合は、副作用対策のためにも、医師や看護師と積極的にコミュニケーションを取るようにすると良いです。

抗がん剤の副作用の種類や出現時期などの知識を得る

抗がん剤を使用すると副作用が起るという話は有名です。副作用の種類には、手足のしびれ、耳鳴り、脱毛、口内炎、倦怠感、吐き気、アレルギー反応などがあります。

症状の出現時期は、副作用の種類によって変化しますが、多くは5週間内に出現するでしょう。副作用で辛い時の対処法として、セルフケアの方法を覚えておくと良いです。

副作用は無理して我慢せず、医師に症状を伝えるのが副作用対策になります。場合によっては、副作用を抑える薬が処方してもらえるので、その薬を使いセルフケアができるのです。

治療記録とともに体調の変化も記録する

副作用を使用した時の体調の変化や食事内容などをメモっておくとがん治療の役に立ちます。簡単なメモで良いのですが、メモをとる習慣がない人の場合だと簡単なメモをとるのも難儀に思ってしまい中々できません。

ですから、最初は少しづつでいいので記録を残すようにしましょう。メモの内容は、受けた治療、抗がん剤の種類、治療を受けた時間、食事内容、体調などです。

抗がん剤治療を受けた後の、体調の変化と症状もメモしておくと、医師へ相談する時にしっかりと起きた症状の内容を伝えることができます。必要であれば、精神的状況や思ったことなどもメモにとっておくと良いでしょう。

メモする内容は、細ければ細かい程良いといえます。しかし、それが難しそうであれば、本当に簡単なメモでも良いです。メモをとるという作業がずっと続くように、無理のない範囲で取り掛かりましょう。

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