抗がん剤を投与後に起こる副作用アレルギー症状について、その原因や時期、対処法を解説していきます。
アレルギー症状は抗がん剤だけでなく、あらゆる薬剤で起こる可能性があります。アレルギー症状が起こる原因は、免疫細胞による過剰な免疫反応です。
免疫細胞は体に有害だと判断された異物を攻撃して排除しますが、時に過剰に反応して必要のない攻撃をしてしまいます。
これが体にとってアレルギー反応となり、様々な症状を引き起こす原因となるのです。
抗がん剤によるアレルギー症状は、一般的に点滴を開始してから10分以内に始まります。
かゆみや発疹、ほてり、息苦しさなどがある場合、薬によってアレルギーが発症していることが考えられるため、すぐに医師や看護師に訴えましょう。
アレルギーの症状は、投薬開始直後から数時間以内に起こることが多いのですが、なかには2~3日後に始まることも。遅く始まる反応は「遅延型反応」と呼ばれています。
抗がん剤治療を受ける前には、これまで薬によって、全身の皮膚症状や気管支などに、アレルギー反応が出たことがあるかどうか、必ず医師に伝えておくことが大切です。
代謝拮抗剤 |
|
---|---|
植物アルカロイド |
|
プラチナ製剤 |
|
アレルギーの予防法としては、以前に薬剤によるアレルギー症状が出たことがある場合、抗がん剤の治療開始前に医師に伝えることです。
発疹やじんましん程度だと軽く見がちですが、たとえ軽い症状でも伝えておくことが大切です。
アレルギー症状の発症が考えられる方には、抗がん剤の治療前にステロイド剤、H2受容体拮抗薬を注射して抗ヒスタミン薬を服用して対処します。
がん治療が開始されると、様々な副作用症状のような体に好ましくない症状が現れます。
アレルギー(過敏症)も有害事象のひとつ。例えば検査で使われた造影剤や治療で用いた薬に対してアレルギー反応を引き起こすことも多いにありえます。
CTは体の周りからX線を当てて、体の断面像を観察する検査です。検査のときは、機器の寝台の上にあおむけになり、そのまま筒状の機械の中を通過しながら撮影します。
場合によっては、造影剤を腕の静脈から注入することもあります。造影剤を注射することで、病変をより鮮明に写し出すことができます。
造影剤を注射した後で、気分が悪くなる、蕁麻疹(じんましん)やかゆみが出るなどのアレルギー反応が起こることがあります。
アレルギー体質の方や、CTの造影剤でアレルギーが出たことがある方は、事前に担当医や検査を行う担当者に申し出てください。
「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」によれば、有害事象としてのアレルギー反応は、免疫系障害に分類されます。
グレード1の段階では「一過性の潮紅または皮疹」または「38℃未満の薬剤熱」などが見られる段階で、特に「治療を要さない」とされています。
グレード2になると、治療や点滴の中断が必要になり、症状に対して抗ヒスタミン薬などを使えば、速やかにアレルギー症状が緩和するなどの反応がある段階とされています。
さらに症状が重くなり、グレード3になると、アレルギー症状に対して治療や点滴を注視しても速やかに緩和症状が出ず、一度改善しても再発などが見られる段階とされています。腎障害や肺浸潤などの続発症も現れ、場合によっては入院が必要となります。
さらに進行し、グレード4になると、緊急処置が必要な、生命を脅かす危険がある段階とされています。
有害事象として他にもアレルギー性鼻炎がありますが、アレルギー性鼻炎の場合はグレード1~2までとなり、グレード2でも内科的治療を行うことで対処できるとされています。
副作用の少ない第4世代のがん治療法として、いま「免疫療法」が注目されています。
がんの三大治療法と言われる切開手術・薬物療法・放射線療法と比較し、どういった特徴を持った治療法であるのか。
がん細胞を集中的に攻撃するメカニズムから、免疫療法を始めるにあたり相談すべきクリニックまでを特集しています。