貧血

抗がん剤の使用によりなぜ貧血が起こるのか、その原因と予防法、対処法などを紹介します。

貧血が起こる原因や発症時期

貧血のイラスト抗がん剤投与による副作用で貧血が起こる原因は、抗がん剤により赤血球やヘモグロビン量の減少が起こるためだと言われています。

抗がん剤はまず細胞分裂が盛んな骨髄にダメージを与えて、骨髄抑制と呼ばれる状態になります。この骨髄抑制になると免疫細胞である白血球だけでなく、赤血球や血小板も減少。これにより体中の組織が酸欠となるため貧血が起こりやすくなるのです。

貧血症状としては、顔色が青白くなる、息切れやめまい、動機がする。めまいや倦怠感、耳鳴り、手足の冷えがあるなどです。自覚症状がある場合は良いのですが、自覚症状なしに貧血に陥っていることもあるので注意が必要です。

貧血症状がひどくなると低体温や心不全、昏睡状態になることもあります。貧血は女性に多く、よく耳にする症状のようですが、悪化すると生命の危険にも関わるため気を付けたいものです。

貧血症状が現れるのは、抗がん剤治療を開始してから数週間~数ヶ月後です。これは白血球よりも赤血球の方が寿命が長いので、白血球より影響が遅れて現れるためです。

貧血が現れやすい抗がん剤

種別 一般名 製品名
プラチナ製剤
  • シスプラチン
  • カルボプラチン
  • アイエーコール、コナブリ
  • カルボプラチン、カルボメルク
抗がん性抗生物質
  • ドキソルビシン
  • エピルビシン
  • アドリアシン
  • エピルビシン塩酸塩、ファモルビシン

貧血の予防法・対処法

予防法

貧血にならないようにするためには、まず睡眠時間を十分にとり体を休めましょう。食事は赤血球の生成に関わる、レバーやチーズ、魚介類、ビタミンB12を含む食品を選んで食べること。単品よりもバランスのとれた食事を心掛けましょう。

対処法

普段の生活で息苦しさやめまいといった症状がなければ、特に病院へ行く必要はありません。手足が冷えたら靴下を履いたり洋服を一枚多く着る、食事で鉄分を多くとるようにするといった工夫をしながら過ごしましょう。

貧血症状が重くなりヘモグロビン値が8g/dl未満となった場合は、赤血球輸血が行われます。血小板の減少が続き出血が多く貧血になっている場合は、血小板輸血が行われることもあります。

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貧血の有害事象のグレードは?

がん治療では、副作用や薬による副作用ではないかもしれないけれど、患者さんに現れた何らかの好ましくない症状や兆候を有害事象として定義。グレード1~5の5段階で有害事象の程度を図り、治療や対処方法に活かしています。

例えば、がんの新薬の臨床試験を行っているドクターは、有害事象を次のように大別できると報告しています。

我々が経験してきた有害事象は、①有害事象が治療薬と関係しているもの.②基礎疾患や抗悪性腫瘍薬以外の併用薬に起因するもの.⑶抗悪性腫瘍薬に関連しており,治験薬との関連は否定的であるもの,④偶発性と考えられるものに大別されるであろう

出典: (PDF) 「シンポジウム 8 有害事象と副作用情報の解釈と取り扱い 1.有害事象と副作用情報の発生する現場から」臨床薬理,40(3),2009[PDF]

米国National Cancer Institute(NCI/アメリカ国立がん研究所)のCancer Therapy Evaluation Program(CTEP)が2009年に公表したものを基準に日本語版が翻訳された「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」では、貧血の有害事象を次のようにグレード分類しています。

グレード1では、ヘモグロビン値が「ヘモグロビン<LLN10.0 g/dL; <LLN6.2 mmol/L; <LLN100 g/L」。グレード2では、ヘモグロビン値が「ヘモグロビン<10.0- 8.0 g/dL; <6.2-4.9 mmol/L; <100-80 g/L」。

グレード3では「ヘモグロビン<8.0 g/dL; <4.9 mmol/L; <80 g/Lまたは輸血を要する状態」。グレード4では「生命を脅かすまたは緊急処置を要する」状態。グレード5では、「死亡」となっています。

出典: 「有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版 2017年9月12日版(本体及び解説ページの日本語訳と日本語訳に関する注意事項を記載したPDFファイル)」

血液100ml中のヘモグロビン量が一定の有害事例の判断基準となるとともに、日本では皮膚や粘膜の蒼白、息切れ、動悸、惰眠、疲れやすいなどといった貧血兆候も併せて判断されることとなっています。

貧血は、有害事象の中でも、血液およびリンパ系障害として分類されています。同じカテゴリーには、骨髄細胞の減少や、溶血、リンパ節痛、脾臓障害なども挙げられています。

こうした有害事象は、抗がん剤の治療成績を判断する上でも使用され、副作用への対策や投薬後の患者さんの生活をよりよくするための対処法に役立てられています。