抗がん剤の副作用によってなぜ、脚や腕、顔などにむくみが現れるのか。その理由や予防法を調べましたので紹介します。
抗がん剤を投与したあと、体がだるい、重い、むくむといった症状が現れることがあります。体のだるさやむくみは、抗がん剤治療を開始した方の約70%が経験すると言われています。
現在のところ、だるさやむくみといった体の倦怠感については原因がハッキリと分かっていません。
抗がん剤による治療を何クールも行うと、それに比例して倦怠感が続くことも多く、治療後も継続することがあります。
そのほかの要因としては抗がん剤の副作用として現れる貧血や吐き気、下痢、食欲不振、睡眠不足といった症状や、精神的な不安が影響しているとも言われています。
体のだるさ、むくみは一般的には抗がん剤の投与を始めてから3~4日後に現れることが多く、その後10~14日くらいでピークを迎えます。
ピークを超えれば軽減することも多いといわれているのが、抗がん剤の副作用で起こるむくみの特徴です。
アルキル化剤 |
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代謝拮抗剤 |
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プラチナ製剤 |
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生物学的応答調節剤 |
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だるさやむくみ、疲れやすさなどは生活の質を下げる要因にもなりますが、他の副作用と違って見過ごされやすい症状です。
気になることがあったらまずは医師や看護師に遠慮なく相談をして、なるべく早く気付く事が大切です。
また、塩分の高い食品はなるべく避けた方が賢明です。
体のだるさやむくみが続いた場合、ステロイド剤を投与することもありますが、長期間の投与ではかえって副作用がひどくなることもあるため、薬物療法はあまりおすすめできません。
それよりもまずカウンセリングを受け、適度な運動をしたり音楽やアロマなどで気分転換をしたりなど、日常生活の工夫を大切にしましょう。
十分な睡眠をとって不眠を防ぎ、お風呂やマッサージなどで全身の血流を良くするのも有効です。食事面も栄養バランスがとれたものをとり、体調を整えるようにしましょう。
がん治療における有害事象(副作用など患者さんにとって好ましくない症状や兆候)は数多くあります。
中でもむくみは全身及び投与部位に現れやすい有害事象で、むくみが生じる場所によって「顔面浮腫」「四肢浮腫」「体幹浮腫」の3つに分けられています。
それぞれの有害事象のグレードを見ていく前に、まずは各グレードがどんな段階として位置付けられているのかを知りましょう。
グレード1の有害事象は、「軽度の有害事象」。症状がない場合も多く、治療の必要はありませんが、検査値の異常や画像所見異常などが見られます。
次いでグレード2は「中等度の有害事象」。
最低限の治療もしくは局所的治療が必要とされています。「高度の有害事象」と位置付けられるグレード3になると、で入院や手術、内視鏡治療、輸血など何らかの治療が必要となります。
浮腫の有害事象はグレード1~3のみで、グレード4以上はありません。
顔面に現れるむくみは、顔面に限局している場合はグレード1と定義づけられます。
顔面に限局していても、浮腫の程度が強くなった場合や、身の回り以外の日常生活動作に制限が生じるケースはグレード2。
身の回りの日常生活動作に制限が生じた場合にはグレード3と判断されます。
手足などの四肢がむくむ場合、体積または周長の差、日常生活に制限が生じているかどうかなどをグレードの判断基準としています。
例えばグレード1では「四肢間の差が最も大きく見える部分で、体積または周長の差が5-10%、または腫脹または 四肢の解剖学的構造が不明瞭になっていることが注意深い診察でわかる」程度とされています。
グレード2になると、「四肢間の差が最も大きく見える部分で, 体積または周長の差が10-30%以上増加していること」もしくは「腫脹または四肢の解剖学的構造が不明瞭になっていることが診察で容易にわかる」「皮膚の皺の消失」「解剖学的な輪郭の異常が容易にわかる」「身の回り以 外の日常生活動作の制限」などが見られる段階とされています。
リンパが漏れるもしくは、身の回りの日常生活動作に制限が生じる状態はグレード3となります。
体幹のむくみは、「腫脹または解剖学的構造が不明瞭になっていることが注意深い診察でわかる」状態をグレード1、
「解剖学的構造が不明瞭になっていることが診察で容易にわかる」または「皮膚の皺の消失」「解剖学的な輪郭の異常が容易にわかる」「身の回り以外の日常生活動作の制限」などのいずれかが見られる場合をグレード2としています。
また、「身の回りの日常生活動作の制限」や「解剖学的な輪郭の異常が著明である」とされる場合をグレード3としています。
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