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吐き気・嘔吐

抗がん剤の代表的な副作用である吐き気(悪心)と嘔吐。吐き気・嘔吐の原因や発症時期、どうすれば予防できるのか、またどう対処すればよいのかについてまとめました。

抗がん剤の副作用で起こる吐き気・嘔吐とは

吐き気や嘔吐は、何らかの原因により脳の嘔吐中枢が刺激されることで起こります。

抗がん剤が体内に入ると、その化学成分が嘔吐中枢を直接刺激したり、消化管の粘膜にダメージを与えたりすることで、吐き気や嘔吐が起こると言われています。

また、以前、吐き気や嘔吐で生じた不快感を思い出して、副作用に対する不安や恐怖心が大きくなるなど、精神的な影響から気分が悪くなり、吐いてしまうこともあります。

吐き気・嘔吐の副作用が起こる原因

  1. 抗がん剤の成分が、直接嘔吐中枢を刺激する
  2. 抗がん剤の成分が、胃や腸の粘膜にダメージを与えることで嘔吐中枢を刺激する
  3. 不安や恐怖心など精神的な影響から嘔吐が誘発される

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吐き気・嘔吐が起こる時期

抗がん剤の副作用による吐き気・嘔吐は、発症時期によって次の3つのタイプに分類されます。

急性悪心・嘔吐

抗がん剤投与後1~2時間後に起こるもので、5~6時間ごろピークを迎えることが多いです。ほとんどが24時間以内にはおさまってしまいます。

遅発性悪心・嘔吐

抗がん剤投与後24時間前後に起こり、数日間持続します。抗がん剤の種類、投与量によっても起こる頻度が変わり、はっきりとした仕組みはまだ解明されていません。

予期性悪心・嘔吐

過去の吐き気や嘔吐がひどかった経験を思い出す、他の患者さんのつらい状態を見るなど、精神的な不安や緊張から吐き気・嘔吐を誘発するものです。

治療が始まる前から症状が始まり、治療中も続きます。

こうした副作用は、抗がん剤ごとに発現の仕方が異なり、急性と遅延性の症状がどちらも出る薬もあれば、吐き気・嘔吐のピークが一度で緩やかなカーブを描く薬もあります。

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吐き気・嘔吐が副作用として現れやすい抗がん剤

白金製剤
  • シスプラチン(シスプラチン、ブリプラチン)
  • カルボプラチン(カルボプラチン、パラプラチン)
  • ネダプラチン(アクプラ)
アルキル化剤
  • シクロホスファミド(エンドキサン、エンドキサンP)
  • ダカルバジン(ダカルバジン)
  • ブスルファン(ブスルフェクス、マブリン)
カンプトテシン系
トポイソメラーゼ阻害薬
  • イリノテカン(カンプト、トポテシン)
アントラサイクリン系
抗がん性抗生物質
  • ドキソルビシン(アドリアシン)
  • イダルビシン(イダマイシン)
  • エピルビシン(ファルモルビシン、エピルビシン塩酸塩)

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吐き気・嘔吐の予防法

吐き気や嘔吐を鎮める薬を使った制吐療法

抗がん剤治療の研究が進むにつれ、さまざまな支持療法が発達しましたが、なかでも制吐剤(吐き気や嘔吐をしずめる薬)を使って吐き気や嘔吐を軽減する「制吐療法」は、ここ十数年で格段に進歩しています。

抗がん剤によって嘔吐中枢が刺激されるメカニズムが明らかになり、その症状を抑える薬が次々と開発されたのです。

現在では、各抗がん剤が吐き気・嘔吐を引き起こすリスクの高さに合わせて、適切なタイミングで適切な制吐剤を投与することで、副作用を大幅に軽減することができるようになりました。

リスクが軽減されたというデータもあるため、以前より安心して抗がん剤治療が受けられる時代になったといえるでしょう。

どうしても不安な場合は、担当医師に相談してみてはいかがでしょうか。精神的な要因からくる予期性の吐き気や嘔吐に関しても、向精神薬などで抑えることが可能です。

体調を整えて治療を受ける

吐き気・嘔吐を予防するには、まず、体調を整えて治療を受けることが大切です。消化のよいものを食べ、睡眠を十分にとりましょう。

治療を受ける前日は、不安でなかなか寝付けないこともあるかと思いますが、吐き気・嘔吐は薬でコントロールすることができるので、それほど心配することはありません。

しっかり体を休めて、治療に臨んでください。

においや音、光といった生活環境によって吐き気や嘔吐が誘発されることもあります。

部屋を清潔に保ち、窓を開けて換気をしたり、カーテンやブラインドを調節して光量をおさえたりして、リラックスできる環境を作りましょう。

服装は体を締め付けるようなものは避け、ゆったりとしたもので。ちょっとした工夫が予防につながります。

好きな音楽(メロウ系、チル系推奨)を聴いたり、本や雑誌を読んだりして、気持ちを治療からそらすのもオススメです。

治療のことばかり考えているとかえって気になってしまうもの。わたしはこの「イヤな現実から目を背ける作戦」で治療を乗り切りました!

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吐き気・嘔吐の対処法

とにかく安静第一に。ゆっくりと深呼吸をすることで、吐き気はかなり楽になります。冷たい水やレモン水でうがいをしたり、氷やキャンディーを口に含んだりするとより効果的です。

好きな飲み物で氷を作っておくのもいいと思います。市販品だと、ICE BOXという味つきのかちわり氷のような氷菓がイチオシです。

吐き気・嘔吐がある場合は、無理して食事をとる必要はありません。食べられるものを食べられるだけ口にしてください。

食べ物のにおいで気分が悪くなることが多いため、においの強くないものを選ぶようにしましょう。

豆腐やうどんなど消化がよいもの、アイスやゼリーなど冷たくてさっぱりしたものが食べやすいと思います。

吐き気や嘔吐が長く続いた場合、食欲不振や脱水症状を起こすこともあるので気をつけましょう。

スポーツドリンクなどを飲んで、失われた水分、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを補うようにしてください。

吐き気・嘔吐の有害事象のグレード

副作用のみならず、様々な好ましくない兆候などを含む有害事象は、がんの化学療法において避けては通れないものです。

適切に対処するための基準として、有害事象は重症度をグレードで定義され、グレード3以上では、入院や手術などの治療が必要とされています。

抗がん剤の副作用として生じることの多い吐き気・嘔吐は、有害事象のグレードではそれぞれどのように定義されているのでしょうか。

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嘔吐のグレードの定義

米国National Cancer Institute(NCI)のCancer Therapy Evaluation Program(CTEP)が2009年に公表したテキストをもとに作られた「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」では、嘔吐の有害事象を各グレードで次のように定義しています。

まず、症状が軽度もしくは無い状態で、検査や臨床所見で異変が見られるグレード1は、治療の必要が無いとされる有害事象です。

グレード1では「24時間に1-2エピソードの嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする)」と嘔吐の頻度が1日あたり1、2回です。

グレード2になると嘔吐の頻度は24時間に3~5エピソードと増え、グレード3になると24時間に6回以上。入院を要する程度とされています。

グレード4になると生命を脅かす、もしくは緊急処置を要する段階で、グレード5では命を落とす状態と定義されています。

このような有害事象のグレードは、治療現場では副作用に対する対処法を検討する際に医師や看護師らの間で、どの対応がベストかを判断する上で参考となる指標として使われています。

有害事象は、治療や処置との因果関係は問わず、純粋に患者さんに現れる症状を指しますから、ご自身・ご家族の有害事象の程度を判断する指標として、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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