抗がん剤によって白血球減少が起こるのはなぜなおでしょうか。その対策法や、予防法についてまとめています。
抗がん剤の治療を始めると、血液中の白血球の数が減少することが。血液の中には、白血球、赤血球、血小板という3種類の細胞があります。
白血球はそのなかでもウイルスやカビ、細菌といった異物を体の中から排除する役割を担っています。
白血球にはさまざまな種類があるのですが、白血球の50~70%を占めているのが好中球なので、好中球の数を副作用の指標として見ることが多いようです。
抗がん剤によって白血球の数が減少するのは、抗がん剤が増殖活性の高い細胞をターゲットにするため、分裂の盛んな血液を作る骨髄もダメージを受けやすくなるからです。
骨髄がダメージを受けて機能が低下することで、白血球数も減少してしまいます。
一般的には抗がん剤の投与後、2~3日で白血球数の減少が始まります。その後10~14日で最も少なくなり、3週間目になると回復を始めます。
白血球数が少ない間は体を守る役割ができないため、細菌などの病原菌を排除できず、感染しやすい状態となります。感染症にかかると重症化しやすいため、注意が必要です。
白血球の数の減少が起きそうなら、感染症を予防するために感染経路を絶つことが大切です。
例えば、普段から手を洗う習慣をつける、不必要な外出を避ける、うがい薬でうがいする、消化の良いものを食べる、正しい歯の磨き方を身に付ける、衣類をこまめに交換する、家の中を丁寧に掃除するなど。日常生活でできることから気を付けていきましょう。
日常生活の工夫ではどうにもならない場合、白血球の数の減少が起きたら、骨髄幹細胞に血球増産を働きかける薬剤を投与することがあります。
感染症が発症したら、医師の指示通りに抗ウイルス剤や抗生物質、抗真菌剤を内服して、早めに対処することが大切です。早急な対処で重篤な感染症を防ぐことができます。
体を病原菌などから守るために欠かせない白血球は、免疫機能も司る大切な細胞です。 がんの有害事象には、この白血球が減少、もしくは増加してしまうという症状があります。
抗がん剤の化学療法を実施する中で、白血球減少を理由に治療を中断する事例も少なくありません。
図1に中断理由の内訳を示した。白血球減少(好中球減少を含める)による中断が52%を占めた。特にCBDCA+PAC施行時,33回の中断があり、そのうち22回(76%)が白血球減少による中断であった
「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」では、白血球減少のグレードは、数値別に次のように定義されています。
万が一、化学療法中に白血球の減少が見られると、患者さんの安全性を確保するという点でも治療時に使う薬剤の減量や治療の中断が検討されることが多いようです。
有害事象は化学療法だけに限らないとはいえ、白血球減少は、化学療法を受ける際には気をつけておきたい症状といえます。
入院治療に比し、医療スタッフの目が届きにくい通院治療で最も重要なことは安全性の担保である。
化学療法レジメンが標準的治療であることは当然であるが、さらに治療の安全性を確保していく上で、患者の全身状態及び薬物の毒性を評価し、投与する薬剤の最適投与量に変更し、時に中断の判断をする必要がある。
今回の中断理由の主原因であった白血球減少は医師及び患者にとっても安全性確保の上で、重要な因子であることが確認された
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