イリノテカンの特徴や副作用、使用上の注意、使用者の体験談などをご紹介します。イリノテカンは、肺がんや子宮頸がん、胃癌、大腸がん、乳がんなど、幅広いがんに対応している抗がん剤の一種です。
一般名称 | イリノテカン:注射 |
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形状 | 注射剤 |
分類 | 細胞障害薬 |
商品名(製造元) | カンプト点滴静注100mg(株式会社ヤクルト本社)など |
薬価 | 100mg7,534円/瓶 |
適応する症状 |
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イリノテカンは、肺がんや子宮頸がん、胃がん、乳がん、膵臓がんなど、さまざまなタイプのがんに治療効果を発揮する抗がん剤。体内の特定の酵素に働きかけることで、がん細胞の増殖抑制を目指す薬です。
用法・用量には、AからEの5種類があります。がんの種類等により、適切な用法・用量を選択します。
たとえば肺がんや乳がんの場合には、通常、成人に1日1回、イリノテカン塩酸塩水和物100mg/gを1週間間隔で3~4回ほど静脈に点滴。のち、少なくとも2週間休養します。これを1クールとして、患者の状態を見ながらクールを繰り返します(A法)。
DNAの合成に関与する酵素の働きを阻害し、がん細胞の増殖を抑えます。細胞阻害薬の中でも「トポイソメラーゼ阻害薬」というグループに属する薬です。
セイヨウオトギリソウやグレープフルーツジュースなどの食品との相互作用が確認されています。ほかにも、さまざまな成分との相互作用が確認されているため、慎重に併用することが必要です。
本剤の投与において、本剤との因果関係を否定できない死亡例が、全投与症例1,245例中55例(4.4%)に認められています。多様な副作用が報告されている薬なので、患者の状態をよく観察のうえ慎重に投与する必要があります。
骨髄機能抑制 | 白血球減少が73.5%、好中球減が少60.3%、血小板減少が27.4%、貧血が57.2%、発熱性好中球減少症が0.05%、汎血球減少が頻度不明で認められています。 |
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高度な下痢、腸炎 | 下痢が44.4%、大腸炎が0.1%、小腸炎が0.04%、腸炎が0.1%の頻度で認められています。 |
腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞 | 腸管穿孔が0.02%、消化管出血が0.1%、腸管麻痺が1.7%、腸閉塞が0.4%の頻度で認められています。 |
間質性肺炎 | 間質性肺炎が0.9%の頻度で認められています。 |
ショック、アナフ ィラキシー | ショック、アナフィラキシーが頻度不明で認められています。 |
肝機能障害、黄疸 | 肝機能障害が1.1%、黄疸が0.06%の頻度で認められています。 |
急性腎障害 | 急性腎障害が0.05%の頻度で認められています。 |
血栓塞栓症 | 肺塞栓症と静脈血栓症が頻度不明で認められています。 |
脳梗塞 | 脳梗塞が頻度不明で認められています。 |
心筋梗塞、狭心症発作 | 心筋梗塞が0.01%、狭心症発作が0.02%の頻度で認められています。 |
心室性期外収縮 | 心室性期外収縮が0.05%の頻度で認められています。 |
消化器 | 悪心・ 腹痛/嘔吐/食欲不振/食道炎/吐血/腸管運動/亢進/しゃっくり/腹部/膨満感/口内炎/口唇炎/痔核/胃腸音異常など |
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肝臓 | ATS(GOT)上昇/ALT(GPT)上昇/ALP上昇/ビリルビン上昇/LDH上昇、γ-GTP上昇など |
腎臓 | 腎機能障害(BUN)上昇/乏尿クレアチニン上昇等)/クレアチニンクリアランス低下/電解質異常/蛋白尿/血尿/尿沈渣異常など |
呼吸器 | 呼吸困難/PaO2低下/気管支炎/上気道炎/咽頭 炎/鼻炎/発声障害/咽頭知覚不全/口腔咽頭不快感など |
過敏症 | 発疹/蕁麻疹など |
皮膚 | 脱毛/色素沈着/浮腫/発赤/紅斑/手足症候群/ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥など |
精神神経系 | しびれ等の末梢神経障害/頭痛/めまい/精神症状/意識障害/傾眠/興奮・不安感/不穏など |
循環器 | 頻脈/心電図異常/血圧低下/動悸など |
その他 | 倦怠感/発熱/熱感/発汗/顔面潮紅/疼痛/腰痛/腹水/鼻汁/好酸球増加/総蛋白減少/アルブミン減少/カルシウム異常/尿酸異常/尿ウロビリノーゲン異常/糖尿など |
以上で挙げた症状以外にも、イリノテカンからは多くの副作用が報告されています。
次の患者には投与しないでください。 |
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次の患者には慎重に投与してください。 |
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次の薬との併用をしないでください。 |
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次の薬との併用に注意してください。 |
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高齢者に投与する場合には、次の点に注意してください。
一般に高齢者は生理機能が低下しているため、排泄が遅れる等の理由から骨髄機能抑制や下痢等の副作用を生じやすくなります。投与間隔に留意するなどの必要があります。
妊婦、産婦、授乳婦等に投与する場合には、次の点に注意してください。
妊娠中の患者や妊娠している可能性のある患者に対しては、投与しないほうが望ましいとされています。動物実験により、胎児における奇形の発症が報告されています。
また授乳中の女性に投与する場合には、授乳を中止するよう指導してください。動物実験により、乳汁への成分の移行が認められているためです。
小児に投与する場合には、次の点に注意してください。
新生児や乳児などに対する投与については、使用経験が少ないため安全性が確立されていません。
イリノテカンの副作用は人によって違うみたいなのですが、私の場合は胃腸に来ましたね。お腹の調子が悪くて、終日寝込んだ日もあります。また、口の中が常に苦い感じがしたり、目ヤニが出たり、耳鳴りが治まらなかったりなど、いろいろな副作用を自覚しています。脱毛はありましたが、すぐにウィッグなしで歩けるほど回復しました。
排尿するたびに悲鳴をあげるほどの激痛があります。トイレで泣き叫ぶほどの痛みです。しかも、その痛みが排尿後1時間くらい続きます。今まで別の抗がん剤で一通りの副作用を経験してきましたが、それらの中でも、一番耐えられない副作用です。たとえようのない痛みです。がんばるしかありません。
イリノテカンの投与を始めて3週間になりますが、まだ髪が抜けません。倦怠感など、脱毛以外の副作用は自覚しています。私とは逆に、髪は抜けたけれども他の副作用はなかった、という人もいるようです。脱毛しないのは薬が効いていないから?と、少し不安になります。