ここでは、アザシチジンの特徴、副作用、使用上の注意、使用者の体験談などをご紹介しています。アザシチジンは骨髄異形成症候群の治療に用いられる抗がん剤の一種です。
一般名称 | アザシチジン:注射 |
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形状 | 凍結乾燥注射剤 |
分類 | 細胞障害薬 |
商品名(製造元) | ビダーザ注射用100mg(日本新薬) |
薬価 | 41,961円/瓶 |
適応する症状 | 骨髄異形成症候群 |
アザシチジンは、骨髄異形成症候群に対して効果を発揮する抗がん剤。高リスクの骨髄異形成症候群患者に対して行った治療データによると、従来の治療法と比べて2年生存率が約2倍(26.2%→50.8%)に延びるなど、高い効果を示しています。
なおアザシチジンは、根治的治療(同種造血幹細胞移植)の実施が不可能な高リスクの患者に対し、第一選択として使用されている薬剤です。低リスクの患者に対する生存期間延長効果は明らかではありません。
75mg/㎡(体表面積)を1日1回、7日間にわたって皮下投与(または10分間の点滴)を行った後、3週間の休養をとります。これを1サイクルとし、患者の状態を確認しながら、かつ薬剤の量を調整しながら投与サイクルを繰り返していきます。
現状、併用が禁忌とされている薬や治療法はありません。ただし、これは「いかなる薬・治療法と併用しても問題がない」という意味ではなく、「他の薬・治療法との併用における安全性は確立されていない」という意味なのでご注意ください。
国内の臨床試験によると、骨髄異形成症候群の患者53例に対し53例(100%)において副作用が認められました。
骨髄抑制 | 好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)が88.7%、血小板減少症が86.8%、白血球減少症が84.9%、赤血球減少症が67.9%、リンパ球減少症が52.8%の頻度で認められています。ほかにも、頻度不明の複数の骨髄抑制が認められています。 |
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感染症 | 敗血症が3.8%、肺炎が13.2%の頻度で見られています。ほかにも、頻度不明で複数の感染症が認められています。 |
出血 | 頻度不明で脳出血、頭蓋内出血、消化管出血、眼出血、血尿などが認められています。 |
間質性肺疾患 | 頻度不明で間質性肺疾患が認められています。 |
心障害 | 心房細動が3.8%、心不全が1.9%の頻度で認められています。 |
ショック、アナフィラキシー様症状 | 頻度不明でショック、アナフィラキシー様症状が認められています。 |
肝機能障害、黄疸 | ALT(GPT)増加が37.7%、ALP増加が35.8%、AST(GOT)増加が34.0%、血中ビリルビン増加が24.5%の頻度で認められるなど、複数の肝機能障害が認められています。黄疸があらわれることもあります。 |
腎不全、腎尿細管性アシドーシス | 腎不全が1.9%の頻度で認められています。また頻度不明で腎尿細管性アシドーシスが認められています。 |
低血圧 | 頻度不明で低血圧、および起立性低血圧が認められています。 |
感染症 | 鼻咽頭炎/咽頭炎/口腔カンジダ症/副鼻腔炎/蜂巣炎/肛門膿瘍/尿路感染/白癬感染/口腔ヘルペス/単純ヘルペス/鼻炎/ブラストミセス症/憩室炎/トキソプラズマ症/四肢膿瘍/菌血症/直腸周囲膿瘍 |
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血液 | ヘモグロビン減少/ヘマトクリット減少/血小板血症/単球減少症/好酸球増加症/好塩基球増加症/白血球増加症/リンパ球増加症/単球増加症/平均赤血球ヘモグロビン濃度減少/芽球増加/アンチトロンビンⅢ減少 |
代謝異常 | 食欲不振/血中アルブミン減少/LDH増加/血糖値上昇/総蛋白減少/血中リン減少/血中カリウム減少・増加/血中ナトリウム減少/血中クロール増加/血中カルシウム減少/血中リン増加/血中重炭酸塩減少・増加/血中尿酸減少・増加/血中クロール減少 |
精神神経系 | 頭痛/不眠症/味覚異常/浮動性めまい/不安/錯乱状態/嗜眠/意識障害 |
眼 | 結膜出血/眼充血 |
循環器 | 動悸/心膜炎/高血圧 |
呼吸器 | 鼻出血/口腔咽頭痛/上気道炎/口腔咽頭不快感/低酸素血症/呼吸困難/喀血/咳嗽/肺浸潤 |
消化器 | 便秘/悪心/下痢/口内炎/嘔吐/歯周病/腹痛/腹部膨満/痔核/腹部不快感/口唇乾燥/肛門周痛/舌炎/口唇炎/齲歯/歯痛/口腔内出血/歯肉出血/痔出血/歯肉腫脹/歯肉痛/胃炎/腸炎/消化不良 |
皮膚 | 発疹/そう痒症/接触性皮膚炎/蕁麻疹/点状出血/紅斑/紫斑/斑状出血/皮下出血脱毛症/皮膚乾燥/皮膚小結節/皮膚硬結/好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群) |
腎臓及び尿路系 | 尿蛋白陽性/尿潜血陽性/血中クレアチニン増加/BUN増加/尿糖陽性/排尿困難/尿閉 |
その他 | 注射部位反応(紅斑/発疹/そう痒感/硬結等)/倦怠感/発熱/四肢痛/背部痛/浮腫/疲労/胸痛/脱力感/血腫/胆嚢炎/関節痛/骨痛/筋力低下/筋肉痛/CRP増加/体重減少/筋痙縮/胸部不快感/脱水/悪寒/全身健康状態低下/カテー テル留置部位反応(紅斑/出血/感染等)/脾腫/筋骨格痛/頚部痛/筋骨格系胸痛 |
次の患者には投与しないでください。 |
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次の患者には慎重に投与してください。 |
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高齢者に投与する場合には、次の点に注意してください。
一般に高齢者は生理機能全般が低下しているため、投与にあたっては慎重を期するようにしてください。
妊婦、産婦、授乳婦等に投与する場合には、次の点に注意してください。
妊婦または妊娠している可能性がある女性に対しては、本剤を投与しないでください。投与中の女性に対しては、避妊をするよう指導してください。動物実験により、胚・胎児死亡及び奇形の発生が報告されています。
また授乳婦に本剤投与する場合には、授乳を中止するよう指導してください。
小児に投与する場合には、次の点に注意してください。
小児に対する使用経験が少ないため、安全性は確立されていません。
ビダーザの1クール目をスタートしました。点滴ではなく、お腹の皮下注射です。注射の後、針を指した部分の痛みはあったのですが、すぐに特段の副作用を自覚したわけではありません。ただ、注射の初日から3日目まで便秘が続いています。ビダーザの副作用としては、便秘が最初に現れるのだそうです。
70クール以上のビダーザを受けた母が、昨年77歳で亡くなりました。死因は肝硬変ですが、肝硬変の原因はビダーザの副作用だったのかも知れません。ビダーザを受けていなければ肝硬変にならなかったかも知れませんが、ビダーザを受けたおかげで長生きできたのだとも思います。
ビダーザでの治療を始めて以来、体重が10kg近く落ちてしまいました。耐力もみるみる低下し、少し動くだけでも息が上がるほど。このままでは仕事を続けられないと思い、ビダーザをやめて移植に望みをかけて転院することにしました。ただし、私のように70を過ぎてからの移植の先例がないそうで、医師からは「臨床研究のものと理解してください」と率直に伝えられています。