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ラパチニブ

ラパチニブの特徴や副作用、使用上の注意、使用者の体験談などをご紹介します。ラパチニブは、乳がんの治療に用いられている抗がん剤の一種です。

ラパチニブの概要

一般名称 ラパチニブ:錠剤
形状 錠剤
分類 分子標的薬
商品名(製造元) タイケルブ錠250mg(ノバルティスファーマ株式会社)
薬価 1697.9円/錠
適応する症状
  • 乳がん

ラパチニブの特徴

ラパチニブは、乳がんの治療に用いられている抗がん剤。がん細胞の増殖に関与している特定のタンパク質を阻害し、がん細胞の拡大を抑制する薬です。 乳がんの表面には、「HER2」と呼ばれる特殊なタンパク質が出てくることがあります。この「HER2」の出現は乳がんの悪化を及ぼし、予後不良となる因子のひとつと考えられています。

「HER2」を出現させる乳がん遺伝子を持つ人の割合は、乳がん患者さん全体の25%~30%。 ラパチニブは、がん細胞の増殖を促進させる「HER2」に対して強力な阻害作用を持ちます(本ページ「効果のメカニズム」参照)。

したがって、ラパチニブの適応となるのは「HER2」が過剰に出現している場合に限られます。通常は本剤単独投与ではなく、フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬カペシタビン(商品名:ゼローダ)またはホルモン系に作用するアロマターゼ阻害剤と併用。

また、ラパチニブはトラスツズマブでの治療歴がある「HER2」陽性の転移性乳がんに対する有効性が、臨床試験で初めて証明された薬であり、「HER2」が過剰に出現している乳がん患者さんの治療選択肢として期待されています。

理論的にはがん細胞にのみ作用しますので、従来の抗がん剤に比べて副作用は少ないと考えられてはいますが、あくまでも「従来の抗がん剤に比べて」ということですので、後述の通り多様な副作用が出現する恐れがあるので注意が必要です。

用法・用量

症状に応じ、適切な用法・用量で使用します。本剤は単体投与ではなく他剤と併用しますが、カペシタビンと併用する場合は1250mg、アロマターゼ阻害剤と併用する場合は1500mgを1日1回、食事の1時間以上前か食後1時間以降に経口摂取します。症状の程度によって投与量は減量されます。

効果のメカニズム

ラパチニブは「HER2」「EGFR」という2つの分子を標的にして働く低分子化合薬という種類の薬。がん細胞の増殖に関与しているタンパク質を選択的に抑え込みます。キナーゼ阻害薬と呼ばれるグループに属します。

他の薬・治療法との併用について

ラパチニブは他剤と併用して投与しますが、それ以外にも他の成分との相互作用が多く確認されている薬です。グレープフルーツジュースやセイヨウオトギリソウなどの食品との相互作用も指摘されているため、薬の摂取に際しては、患者の側にも併用に関する一定の基礎知識が必要です。

考えられる副作用

ラパチニブは多様な副作用が認められている薬剤なので、患者の状態に応じて慎重に投与することが望まれます。

重大な副作用

下痢下痢が56%の頻度で認められています。

肝機能障害 肝機能障害が8%の頻度で認められています。
間質性肺疾患 まれに間質性肺疾患が認められています。
心障害 心不全などの重篤な心障害が3%の頻度で認められています。
QT間隔延長 まれにQT間隔延長(不整脈の一種)が認められています。
重度の皮膚障害 まれに重度の皮膚障害が認められています。

その他の副作用

胃腸障害 悪心/嘔吐/口内炎/消化不良/腹痛/口内乾燥/便秘/胃食道逆流性疾患/腹部膨満/痔核/歯肉炎/胃炎/大腸炎など
皮膚及び皮下組織障害 発赤/発疹/爪の障害/皮膚乾燥/掻痒症/挫創/皮膚亀裂/皮膚炎/多汗症/皮膚変色など
全身障害及び投与局所様態 疲労/疼痛/無力症/粘膜の炎症/浮腫/悪寒/腋窩痛/不快感など
神経系障害 頭痛/味覚異常/めまい/感覚鈍麻/知覚過敏/嗅覚錯誤/神経痛など
代謝及び栄養障害 食欲不振/高血糖/高カリウム血症/高尿酸血症/低ナトリウム血症/高カルシウム血症など
筋骨格系障害 筋痙縮/四肢痛/背部痛/筋骨格痛など
呼吸器障害 鼻出血/咳嗽/呼吸困難/咽喉頭疼痛/鼻乾燥/鼻漏/発声障害/鼻部不快感/鼻閉など
感染症 爪囲炎/鼻炎/咽頭炎/感染/帯状疱疹/単純ヘルペス/爪感染/尿路感染/肺感染/鼻咽頭炎/蜂巣炎/毛包炎など
その他 リンパ球数減少/体重減少/白血球数減少/赤血球数減少/血小板数減少/眼の異常感/角膜炎/高ビリルビン血症/ほてり/心室機能不全/血尿/蛋白尿など

使用上の注意

禁忌

次の患者には投与しないでください。
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

慎重投与

次の患者には慎重に投与してください。
  • 肝機能障害のある患者
  • 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
  • 心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
  • 左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、重大な心臓弁膜症のある患者
  • 高齢者

併用注意

次の薬との併用に注意してください。
  • イトラコナゾール
  • カルバマゼピン
  • リファンピシン
  • フェニトイン
  • ミダゾラム
  • ビノレルビン
  • パクリタキセル
  • ベラパミル
  • キニジン
  • シクロスポリン
  • エリスロマイシン
  • セイヨウオトギリソウ
  • ジゴキシン
  • パゾパニブ塩酸塩
  • イリノテカン
  • エソメプラゾール
  • イミプラミン
  • ピモジド
  • キニジン
  • プロカインアミド
  • ジソピラミド
  • グレープフルーツジュース

高齢者への投与

高齢者に投与する場合には、次の点に注意してください。 一般に高齢者は生理機能が低下しているため、患者の状態を観察しながら注意して投与することが必要です。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦、産婦、授乳婦等に投与する場合には、次の点に注意してください。 妊娠中の患者、または妊娠している可能性がある患者には投与しないでください。妊娠可能な女性に対しては、避妊するよう指導してください。 また授乳中の女性においても、授乳を中止するよう指導してください。動物実験では本剤成分の乳児への移行が認められています。

小児への投与

小児に投与する場合には、次の点に注意してください。 小児等等への投与において、有効性及び安全性は確立されていません(使用経験がありません)。

ラパチニブを使用した人からの体験談

激しい下痢と吐き気、高熱に襲われました

乳がんの治療としてはタイケルブとゼローダを服用しています。今までは軽い下痢程度の副作用でしたが、ある日に激しい下痢と吐き気、胃腸が空っぽになったのではないかと思うくらいトイレに籠ってしまいました。そして翌朝から39度の高熱、解熱剤を飲んでも下がらず救急に受診しました。検査は異常なしでしたが、今まで感じたことのないキリキリした胃の痛みが襲ってきます。タイケルブの副作用なのか…

爪の異常や手足症候群といった副作用が強く、休薬することに

ステージⅢの乳がんで左乳房全摘術とリンパ節郭清術を受けました。数種類の化学療法や放射線治療を行ないましたが、脳に転移が見つかりました。タイケルブとゼローダの服用を5クール行ないましたが、爪の異常や手足症候群の副作用がひどく、休薬となりました。

副作用の下痢で痛み止めの座薬が使えなかった

タイケルブの副作用が始まり、ひどい下痢の時に飲むように言われていた薬を飲んでもおさまらず、病院に確認していったん服用を中止しました。この副作用でがんの痛み止めの座薬が使えなくなりましたが(トイレに流れてしまうので)、下痢のほうが厄介です。吐き気や嘔吐に比べれば軽いけれど、これはこれで結構辛いです。

ひどい口内炎が、治ってはまたできるの繰り返し

副作用は今のところ口内炎ですが、これがとてもひどい。治ってはできる、治ってはできるの繰り返しで、常に5~6個ある状態です。それから服用9日目に顔や首筋に赤い発疹、11日目くらいから下痢気味、いちばん懸念されている手足症候群はまだですが、やはり顔や手足が何となくざらざらした感じがあります。

治療を始めて2年、職場復帰もしましたが副作用はほとんどありません

治療を始めて2年が過ぎました。画像上はがん細胞は見えない状態ですが骨には残っているようで、痛みはありませんが時々背中に違和感を覚えます。進行は止まっているようです。治療は月1回の抗がん剤点滴と、3カ月に1度のホルモン剤注射、毎日服用するのはタイケルブとホルモン剤、ゼローダですが、副作用はほとんどなく、「体調はどう?」と問われると、一瞬「なぜそんなことを聞かれるのだろう?」と思うほどです。普段は病気のことを忘れている時間のほうがずっと長いですね。

やっぱり吐いてしまいます

嘔吐の回数やむかつきは減りましたが、夕方から寝る前までの時間帯は吐きっぱなしです。タイケルブの副作用からくるものでしょうか。吐き気のコントロールは難しいです。点滴や注射で吐き気止めを入れてもらっても全く効果なしでした。

タイケルブを再開してすぐの下痢

一昨日からタイケルブを再開しましたが、下痢止めと一緒に服用したのにすぐお腹がキュルキュルしてしまいます。下痢のせいか、何だかやたらとお腹が空いて何となく気持ちが悪いです。翌日も朝から下痢で、一度してしまうと立て続けで外出が困難です。

発熱を繰り返して吐き気や頭痛、身体の痛みも

入院して放射線治療開始までの間、タイケルブほか2剤を服用しましたが発熱を繰り返し、最後には吐き気、頭痛、身体の痛みが現れ、熱は38度を超えました。その後の回診でタイケルブなどは中止、少し身体を休ませて、二週間後の再入院で元の治療で仕切り直しになりました。

痛みがなくなった反面、副作用もあれこれ出てきました

タイケルブとゼローダを服用し始めて1カ月、リンパのしこりは少しだけ小さくなって痛みはほとんどなくなりました。ですが、うれしい効果の反面、副作用もあれこれ出てきました。まずは手足のむくみ(ドセタキセルを服用していたときのむくみに比べればかわいいものですが)、そして手の指の第一関節から先が黒ずんできました。あとは下痢と頭痛です。頭痛は抗がん剤の副作用ではなく、脳転移したときの放射線治療の影響かもしれません。普段は深く考えずに飄々と日々を過ごしていますが、これでもかと襲ってくる現実にさすがに気持ちが荒みます。

顔の吹き出物が一番重症

タイケルブは食事の1時間前後に服用できません。私は夜明け前に必ず目が覚めるので、そのときに飲み、朝食後に他の薬を飲んでいます。少しするとムカムカが始まりますが、胃ではなく、喉の奥がツンとする感じです。他には下痢、手足症候群(足の指に膿)、吹き出物などの副作用がありますが、顔の吹き出物がいちばん重症です。あとは顔色、指先の色がとても黒いです。疲労感やめまいもありますが、なんだか最近そんな身体にも慣れてしまったような気がします。

我慢できないくらい吐きそうになります

タイケルブは我慢できないくらい吐きそうになります。医師に訊くと「そう感じる人もいる。やっぱり薬は人それぞれ感触が違うから」と言われます。どんな薬もそうですが、私は本当に合うものを探すのに苦労します。

頭が痒くて掻きすぎて血だらけに

タイケルブを飲み始めてからずっと頭が痒くて、抗アレルギー剤を飲んだり痒み止めを塗ったりしてしのいできました。他の症状に気を取られて痒み止めを塗り忘れてしまったとき、寝ている間に掻きすぎていて頭が血だらけになってしまいました。

頭がすっきりしない、鼻血が止まりにくい

タイケルブを飲む前と後でちょっと違うと感じるのは、頭がすっきりしていると感じることがなくなったように思います。ちょっと前に言われたことを忘れてしまったりすることを家族にも指摘されました。飲み始めたときは眠くて眠くてたまりませんでしたね。それから、ここ2週間ほど鼻血が止まりにくいです。といっても子供の鼻血のようにタラーッと出るのではなく、むずむずして鼻をかむとティッシュに血が混じっているという感じです。朝だけ涙が止まらない、動悸まではいきませんが脈が速いと感じる、そんな症状もあります。

休薬したら副作用が消えました

タイケルブの副作用(だと私は思っているのですが)で1カ月休薬しました。湿疹や痒みはやっと落ち着いてきてホッとしています。何よりも身体が軽いです。五十肩かと思っていた右肩の痛みも嘘のように消え、腕も真上に挙げられます。歩くのもバランスを崩さず苦になりません。口内炎もヘルペスも消えたし調子は良いです。

1日数回の下痢がしばらく続きます

タイケルブとゼローダを服用していますが、1日数回の下痢がしばらく続きます。下痢がないときはお腹全体が痛くなります。手足のしびれも相変わらずあります。

参照文献・URL

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