アルキル化剤

白血病や悪性リンパ腫などに効果が認められている抗がん剤「アルキル化剤」について、薬の特徴やがんへの効果、起こり得る副作用などをまとめています。

最も古くから使われている抗がん剤・アルキル化剤

アルキル化剤は40年以上前に作られた抗がん剤。世界大戦中に使われたマスタードガスという毒ガス兵器の研究から開発された薬で、世界で最も古くから使われている抗がん剤の1つです。

作用としては、アルキル基という原子のかたまりをがん細胞の遺伝子に付着させ、DNAを異常な形に結合して、DNAのコピーを防ぐというもの。この結合した状態でDNAをコピーしようとすると、DNAが破壊されるため、がん細胞は分裂できず死滅します。

アルキル化剤が作用するためには、体内である一定以上の濃度になることが条件となるため、体内では高い濃度の薬剤を維持しなくてはなりません。白血病や悪性リンパ腫、肉腫などに有効ですが、副作用が強烈なためリスクも大きい治療法です。

また、単独では効果が穏やかなので大量投薬や、ほかの抗がん剤との併用療法が選択されるケースが多いです。

アルキル化剤はがん細胞にどういう影響を与えるのか

アルキル化剤の作用機序を簡単に説明すると、「がん細胞を作っている分子同士を結びつけて解けなくし、がん細胞の細胞分裂を止める」です。また、がん細胞のDNAにアルキル基が結合することで、「がん細胞の情報」を他の細胞に伝えることができなくなり、細胞自死が起こるとも考えられています。つまり、がん細胞を死滅させる働きがあるのです。

アルキル化剤に限らず、他の抗がん剤も様々なアプローチでがん細胞に働きかけます。最近では、それぞれの抗がん剤ががん細胞に与える影響を考慮した上でより効率良く投薬治療ができるように、複数の抗がん剤を併用する治療方法もメジャーになってきました。ただし、その分体に掛ける負担も大きいので、検査の結果や主治医の診断を元に適切な治療方法を選びましょう。

アルキル化剤の種類とそれぞれの効果

アルキル化剤は、白血病、悪性リンパ腫をはじめ、乳がん、肺がん、子宮がん、卵巣がん、腎臓がん、胃がん、肝臓がんなどほぼすべてのがん治療に適応します。

アルキル化剤の種類 効果
イホマイド 小細胞肺癌、前立腺癌、子宮頸癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍、悪性骨・軟部腫瘍などに使用。
エンドキサン 最も使われる抗がん剤の一つ。多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などに使用される。
ダカルバジン メラノーマに最も有効な薬剤。
テモダール 世界70か国以上で導入されている経口タイプの薬剤。脳腫瘍などに適応。
ブスルフェクス 慢性骨髄性白血病に適応。そのほか、造血幹細胞移植の前に大量投与される。
塩酸プロカルバジン 悪性リンパ腫、悪性脳腫瘍などに有効。
アルケラン 多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などに投与される。
サイメリン 多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍などに使用。

アルキル化剤の副作用

アルキル化剤の副作用は強烈と表現されることもあるくらい重いものです。具体的には、骨髄抑制による血液障害、吐き気、嘔吐、発熱、脱毛、出血性膀胱炎などです。女性は無月経、男性は精子生産の停止といった生殖器に関わる副作用が起きることもあります。

アルキル化剤は特に副作用が強いとされている抗がん剤です。服用して1~6時間くらい後に強い吐き気・嘔吐・胸のむかつきといった副作用の症状を訴えることがあります。人によっては1日~2日以上続くこともあるので、日常生活の行動範囲や過ごし方も大きく変化してしまうでしょう。

また、血管痛・全身倦怠感、発熱、脱毛などの副作用が起きることもあります。血小板や赤血球が減少して感染症・出血・貧血・重い肝障害などを引き起こしてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

よく効く抗がん剤ほど副作用も強い傾向にあります。ただし、日々の研究の成果で「副作用が起こりにくく、より効果的にがん細胞に働きかける抗がん剤」の新薬も開発されてきています。アルキル化剤は最も歴史のある抗がん剤であり、その効果は様々ながんの治療に利用されてきました。確実にがんを治す上で、やはり大事な存在と言えます。症状の進行度や体質、今後の治療計画を見ながら利用するか主治医とよく話し合いましょう。

アルキル化剤の強い副作用を軽減するために、「体力や免疫力を上げる食材」、「痛みや吐き気、鬱気分を軽減するリラックス方法」などを取り入れてみてください。最近はアロマやヨガを実践する人も増えてきました。強い抗がん剤だけに頼らずに、今できることを無理なく実施していくことで体力の低下を抑えられます。アルキル化剤などの強い抗がん剤ではどうしても副作用が出てしまうため、それを軽減するための取り組みも実施していきましょう。

また、副作用ではありませんが、アルキル化剤は「DNAを異常な形で結合させる」という特性を持つことから、癌化する細胞を作ってしまう可能性もあります。とくに、エンドキサンやアルケランは国際がん研究機構において「発がん性リスクの高い薬剤」としてリストに挙げられている薬剤です。

リスクを理解した上で治療に臨みましょう

アルキル化剤は白血病や悪性リンパ腫への効果が期待できますが、一方で強い副作用や発がん性も報告されています。治療リスクをよく理解した上で臨みましょう。

抗がん剤の副作用を和らげる成分について詳しく見る>>