ホルモン剤

乳がんや前立腺がんの治療で使用されるホルモン剤について、薬剤の種類や作用、副作用について解説します。

乳がんへの有効性が証明されているホルモン剤

ホルモンの過剰分泌が関わる乳がんや前立腺がんの治療に使われるホルモン剤。がん細胞の成長を促す特定のホルモンの分泌を止める治療法で、がんを殺すのではなく発育を阻害してがんをコントロールするというのが特徴です。ホルモン剤を使ったがん治療は、ホルモン療法や内分泌療法とも言います。

男性ホルモンのテストステロンの増殖が影響する前立腺がんには女性ホルモン剤を投与し、女性ホルモンのエストロゲンの増殖が影響する乳がんなどには男性ホルモン剤が投与されます。

とくに、乳がんの治療では有効性が高く、乳がん手術後に再発・転移したがんの延命効果も明らかになっています。そのほか、子宮体がん、甲状腺がん、腎がんの治療にも使用されます。

ホルモン剤の種類とそれぞれの効果

一般的に使われているホルモン剤は以下の通りです。

ホルモン剤の種類 効果
リュープリン おもに前立腺がんの進行改善に使用される。
プロエスタ 女性ホルモンのエストロゲンとアルキル化剤の抗がん剤、ナイトロジェン・マスタードを組み合わせた薬剤で前立腺がんの治療に導入されている。
フェアストン エストロゲンを必要とする乳がんに対して有効。がん細胞の増殖を阻害するホルモン剤。
アロマシン 乳がん手術後の再発予防や再発性乳がんの治療に使用される。
アリミデックス 世界100か国以上で使用されている進行・再発乳がんのホルモン剤。
タモキシフェン エストロゲンを排除し、がんの成長を抑える薬剤。5年服用が標準となっている。

ホルモン剤の副作用

ほかの抗がん剤に比べると副作用は軽度ですが、乳がんに使用するホルモン剤は、女性ホルモンを減少させる作用があるため、更年期と同様の症状が現れる可能性があります。具体的には、ほてり、のぼせ、発汗、頭痛、肩こり、関節の痛みやこわばりが生じます。身体的な副作用だけでなく、気分の落ち込みやイライラといったうつ症状が現れることもあります。

薬によっては子宮がんの発生リスクが…

乳がん治療に使われるタモキシフェンは子宮がんの発生リスクが報告されています。頻度としては1,000人に1~2人なので確率としては稀ですが、半年に1回の婦人科検診が推奨されています。

最近は、タモキシフェンと同様の働きがあり、さらに再発を防ぐ効果が20%ほど高いとされるアロマターゼ阻害剤が登場しており、タモキシフェンの影が薄くなりつつあります。ただし、アロマターゼ阻害剤にも骨粗しょう症などの副作用が起こりやすく、1年に1回の骨密度検査が推奨されています。

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