プラチナ製剤

貴金属のプラチナの作用を応用した抗がん剤、プラチナ製剤の特徴を解説。代表的な薬の種類や効果、副作用についてまとめました。

がんの標準治療の1つであるプラチナ製剤

プラチナ製剤はその名の通り、貴金属のプラチナを使った抗がん剤。白金製剤とも呼ばれています。プラチナ製剤は1961年、電流が大腸菌にどんな影響を与えるかを調べる研究をしていたときに、細胞分裂を阻止する効果があることが偶然発見されました。

プラチナ製剤のメカニズムはアルキル化剤とよく似ていて、DNAのコピーを阻害したり、がん細胞を死に追いやる仕組みを持っています。

プラチナ製剤の元祖はシスプラチンという薬剤で数十年前に開発されました。その後、副作用が少ないカルボプラチンやネダプラチンといった薬剤が開発されていますが、今でもプラチナ製剤の代表的な薬剤と言えばシスプラチンです。単独使用のほか、他の抗がん剤との併用にも使われています。

プラチナ製剤の特徴とは

プラチナ製剤の大きな特徴は、固形がんだけでなく「白血球や血液系のがん」にも有効である点と、細胞分裂が起こっているとき・起こっていないときの両方で効果を発揮するという点です。さらに、フルオロウラシルなどの他の治療薬の効果を高める働きがあることも分かっていて、抗がん剤の効果を高める「増感薬」として使用されることもあります。まさに、優秀な治療薬と言えるでしょう。

近年は第2世代以降の新しいプラチナ製剤が用いられることも増えましたが、変わらずにシスプラチンは活躍しています。いくつか種類のあるプラチナ製剤の効果を最大限引き出すためには、症状の進行度と治療の経過を観察する必要があります。たとえ副作用が少なくても、体力の低下と共に合わなくなることがありますし、逆に体力の低下がなくても薬剤耐性により効き目が低下することもあるからです。

プラチナ製剤の特徴を把握した上で、「現在の自分に合っているか」を主治医と相談するようにしましょう。適切に使うことで、他の治療薬よりも効果的にがん治療を行なえます。

プラチナ製剤の種類とそれぞれの効果

代表的なプラチナ製剤の特徴は次の通りです。

プラチナ製剤の種類 効果
シスプラチン プラチナ製剤の代表的な薬剤。多くのがんに効果が認められている。
カルボプラチン シスプラチンと同様の働きがあり、かつ副作用の軽減が期待できる第2世代のプラチナ製剤。卵巣がんの標準治療薬として使用されている。
ネダプラチン 日本国内初のプラチナ製剤として開発。シスプラチンよりも副作用が穏やかだが、骨髄抑制が強く現れる。
オキサリプラチン 大腸がん治療の標準3剤として認められている薬剤。

プラチナ製剤の副作用

プラチナ製剤は細胞の分裂期に最も強力に作用しますが、それ以外の時期でも直接DNAに作用するので、高い効果が期待できるといわれています。一方で、効果が高い分、強力な副作用も報告されています。

特にシスプラチンは腎臓障害が出やすく、輸液などで水分補給をするなどの予防策がとられます。そのほか、90%以上の確率で嘔吐や吐き気が起こるほか、脱毛、末しょう神経障害などの副作用も見られます。

強力な副作用があるため経過観察を要する

シスプラチンは強力な腎臓毒性があり、ほかのプラチナ製剤に関してもシスプラチンほどの強力な副作用はなくても白血球や血小板の減少といった骨髄抑制が生じます。抗がん剤のなかでも副作用が多い部類に入るため、経過を慎重に観察していく必要があります。

プラチナ製剤は高い効果がある一方で副作用が強い薬剤です。リスクについては理解した上で治療に臨むことになりますが、自身でも副作用に備えておくとよいでしょう。

プラチナ製剤による副作用を抑えるために、投与方法が工夫されている

プラチナ製剤を用いた治療では、副作用を抑えるために「水分補給」が大事になります。投与時は大量の輸液を使うなどの対策が実施されています。シスプラチンの場合は、生理食塩水に混ぜて投与されるのが一般的であり、これは「副作用から腎臓を保護する目的」と「食塩水中の塩素で、シスプラチンの分解を抑えてくれる目的」があるためです。全身への静脈投与以外に、腹腔内や冠動脈の注入も行なわれます。

近年は、消化器系のがんに対して、少量のプラチナ製剤とフルオロウラシルを投与する「低用量抗がん剤治療」が行なわれるようになってきています。プラチナ製剤は多くのがんに対して治療効果を発揮するため、「どのように用いるか」、「どのようにすれば、より副作用を抑えられるか」ということが重要であり、現在でも研究が進められています。プラチナ製剤をはじめ、様々な抗がん剤では色々な工夫を取り入れることで、「体に優しくがん細胞に厳しい治療薬」の開発を目指しています。

高い効果を持つ治療薬は、その半面副作用も強く現れやすいです。プラチナ製剤を使用する際は、副作用を抑える取り組みを自分でも実施することが大事です。

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